第2号 外国メディアの中国での「戦い」

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     第2号(2011年5月6日)
  ▼ 外国メディアの中国での「戦い」
  ▼ 東日本大震災復興のシナリオ
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▼ 外国メディアの中国での「戦い」

 中国語ホームページの総合ランキングでは、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)中国語版は32位で、「人民日報」(人民網)の40位を超えた。米Alexa社が統計した訪問者数、PV数、カバー数などのデータに基づき、算出された1733の中国語ホームページの比較結果に驚いた(4月21日までの過去三カ月間)。

 WSJ中国語版がスタートしたのはおそらく05年、小生が共同通信の中国語業務「共同網」にかかわってからのことだった。「後輩分」で、面白くなかったので一笑に付したことを覚えている。

 活字離れで苦闘する世界中のマスコミメディアが、「工場」から「市場」に転換しつつある中国への参入は盛んになってきた。WSJ、共同のほかに、ロイター、フィナンシャル・タイムズ(FT)、韓国の朝鮮日報、聯合ニュース、ロシア・ノーボスチ通信なども中国語のホームページをスタートさせた。

 そのうち、WSJ、ロイター、FTが断然トップ。わけがそれぞれのトップページを開けばわかる。中国にかかわるホット記事がずらりと並び、中国社会の動きと一致しているのだ。三社とも元々のグローバルな視点に加え、編集長を中国人にするなど、現地化が進んでいる。その結果、FT中国語の登録者数が150万人にのぼり、中国企業などから広告をとり、利益をあげる。関係者が「利益がFTグループ全体の20%程度を占めている」と明かす。そのためか、FT中国語の中国人編集長をFT本紙の副編集長にも抜擢した。

 一方、日本のマスコミでは、共同通信とNHKが中国語のホームページを運営している。日本人向けの記事をそのまま翻訳し、日本の動きが中心となっている。日本には大地震、政局大変動などよほど大きな出来事がなければ、一般読者に読まれていない。

 経済が活発となっている中国はリングとなり、各国の企業がプレーし、競争を繰り広げている。日本自動車メーカーの中国に出遅れ、中国市場における日本携帯電話の失敗などを連想すると、日本企業が中国を「工場」とする分野では成功しても、「市場」の中国では順調とはいえないようだ。その背景には共通するものがあるかもしれない。

 一度中国語の業務をスタートし、失敗した日本経済新聞は今年、中国語ホームページを再開し、編集長も中国人にするなど、工夫をしているそうだ。新しい道が開くのか、見てみたい。

参考:
・中国語ホームページ総合ランキング
http://www.iwebchoice.com/Html/ClassChannel.shtml
(米Alexa社の統計が精密的ではないが、これを超える科学的な統計も存在しないようです)

・各国マスコミ・メディアの中国語ホームページ↓
ウォール・ストリート・ジャーナル http://cn.wsj.com/gb/
フィナンシャル・タイムズ http://www.ftchinese.com/
ロイター http://cn.reuters.com/
共同通信 http://china.kyodonews.jp/
NHK http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/chinese/top/index.html
聯合ニュース http://chinese.yonhapnews.co.kr/
韓国の朝鮮日報 http://chinese.chosun.com/
ロシア・ノーボスチ通信 http://rusnews.cn/

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▼ 東日本大震災復興のシナリオ

 昨年3月に定年退職した福島大学時代の恩師、鈴木浩先生(専門:地域計画および地域居住政策)が、大地震後に福島県の総合計画審議会の会長などとして、各地の現場や被災者の要望や要求を聞きながら、復旧・復興計画の作業に取り掛かっています。「世界中の原発のある地域にとって、先駆的な取り組みとしてモデルになるような取り組みができれば」と頑張っています。

 近頃、鈴木先生が東日本大震災復興支援ネットワークのブログを立ち上げました。「主要な目標は、この中で、未完の『復興のシナリオ』を提示していますが、それについて皆さんからのご意見をお寄せいただき、完成に近づけることです。復興の見通しがついたときがシナリオの完成、と肝に据えて、地域社会の再生や地域経済の再構築などをめざしたい」と言います。

 ぜひ皆さんのご意見をお寄せくださいますようにお願いします。

東日本大震災復興支援ネットワーク: http://hp-network.jimdo.com/

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